12月の詩
自分の感受性くらい 茨木 のり子
ぱさぱさに乾いてゆく心を
ひとのせいにはするな
水から水やりを怠っておいて
気難しくなってきたのを
友人のせいにはするな
しなやかさを失ったのはどちらなのか
苛立つのを
近親のせいにはするな
何もかも下手だったのはわたくし
初心消えかかるのを
暮らしのせいにはするな
そもそもが ひよわな志にすぎなかった
駄目なことの一切を
時代のせいにはするな
わずかに光る尊厳の放棄
自分の感受性くらい
自分で守れ
ばかものよ
わたしと小鳥とすずと 金子 みすゞ
わたしが両手をひろげても
お空はちっともとべないが
とべる小鳥はわたしのように
地べたをはやく走れない
わたしがからだをゆすっても
きれいな音はでないけど
あの鳴るすずはわたしのように
たくさんのうたは知らないよ
すずと、小鳥と、それからわたし
みんなちがって、みんないい