芸と徳
芸は設(しつら)えがあります、設定があるという事です。試験は時間も範囲も
決められていますし、オリンピックも4年に一回です。勘違いしやすいのは、試験の
成績が良いことやオリンピックの金メダルが社会で生きてゆく、生活していくときに
必要だと信じることです。 徳は実際の生活ですから設定や約束事がありません。相手が
どう出てくるか分からないのです。ルールやマナーはやりやすくはなっても、正解では
ありません。挨拶も、体育系の大きな声での「オハヨウゴザイマース」は、事務所では
「ウルサイ」だけかもしれません。芸事にたけて徳がない人はいくらでもいます。
「徳を積む」時、何が正解か分からないままやることです。悩む人は正解があると
思っています。コンビニのバイトでは、次のお客さんがいつ来るか、どんなお客さんか、
喜んでくれるかどうかもわかりません。だけど、とりあえずは逃げてない程度ににいる
ことです。「英検とってアメリカに行ったらモテますか?」「英語がいくら喋れても、日本語
ペラペラのお前が、日本でモテないのだからアメリカ行ってもムダ」 芸事は身につけて
おれば良いことで人間性とは関係ありません。芸と徳は全く別のもので関係ありません。
生きるのが下手な人は徳に正解があると思い込んでいます。徳に答えはなく、分からないの
ですから「まあまあ、大丈夫」くらいの気持ちでいることです。